ジャン・ムトンのミサとモテット

 ジャン・ムトンも,演奏される曲はごく一部のモテット(クリスマス用のCDに演奏されるものばっか)で,ミサについてはまず演奏されませんが,少なくとも midi を作った限りでは,ムトンも知られざる大作曲家と言わざるをえません.ミサ「ロ・セレ・ジュ・ディル」のクレドは本当にすばらしい完成度です.しかし,このミサ,第二アニュスがカノンなのですが,第2アニュスには"Duo. Sequere me." (二重唱.私を追え.)とのみ記されており,もう一方はどこから歌いはじめればいいのか明示されていません.当時は色々ためしてから,ブレヴィス1個分遅れて始まる同度のカノンと解釈しましたが,この解釈はあちこちに不協和音を作ってしまうので,間違っているように思います.素直に校訂楽譜を求めればよかったのですが,写本のみで作ることにこだわりすぎていましたね.こういうところに独学の弱みが出てしまいます.

ミサ「ロ・セレ・ジュ・ディル」



ミサ「我が主たる神は祝福されたり」



ハンガリーのCAPELLA THERESIANAによるミサ「アレルヤ」.ライブの名演です.全曲ではないのが残念.

キリエとグローリア


サンクトゥス




いくつかそのほかYouTubeに見つかるモテットも貼り付けておきます.

モテット Alleluia, Confitemini Domino.韓国の合唱団のようですが,名前はわかりません.韓国の方はアマチュアでも本当に声がよく,週1回しか練習していないような教会の合唱隊も天使のような歌声だったりします.日本人と何が違うのかなと思います.



UNT (University of North Texas) Collegium Singers によるモテットSalva nos Domine vigilantes.



Cappella Nova Mundi による演奏でモテット Peccantem me. 50回再生なんてもったいないいい演奏です.



The Suspicious Cheese Lords というグループによるモテット Alleluia, noli flere Maria.



posted by 新見我無人 at 00:44Comment(0)日記

カペッラ・プラテンシスのラ・リュー ミサ「喜びとともに」などなど

 最近はコンサート丸ごとも結構ありますね.すでにいくつも動画貼り付けてますが,これはカペッラ・プラテンシスによるラ・リューのミサ「喜びとともに」missa cum iocunditate を中心としたコンサートです.前後を全然トリミングしていないので演奏前と後に相当時間があいています.クリックすると演奏直前になるように設定しています.




これもポルトガルでの演奏会で,ジョスカンとポルトガルの作曲家 Vasco Pires (fl. 1481-1509), Pedro de Escobar (?) (ca. 1465-ca. 1535) の曲で構成されたコンサートとのことですが,曲名などはよくわかりません.14:50ぐらいからJosquin の Miserere mei, Deus が歌われます.



ところでルネサンス音楽愛好家にはもうすでにお馴染みになったであろう例の楽譜台ですが,カペッラ・プラテンシスの使っているものは組み立て式でトランクにぴったり収まるもののようです.組み立て動画(早回し)がありました.ここまで立派なものでなくてよければ,DIYで作れそうですね.



最後にテレビ放送.ラ・リューの Purquoy non などが歌われています.

posted by 新見我無人 at 15:37Comment(0)日記

アグリーコラのミサ「不幸が私を打つ」

アレクサンダー・アグリーコラのミサ「不幸が私を打つ」は,写本ではクレドが不完全で,別な写本か校訂楽譜を手に入れてからと思っていたら結局作りませんでした.この写本はおまけに明らかな誤りもいくつかあるのですが,しかしそれを訂正しようにも,もともとが不協和音などを利用している独特の音楽であるため,綺麗なカデンツァなどを頼りに訂正することもできず,解決案がうまくいっているかちょっと不安ですね.欠けているクレドの代用として断片のクレド・ヴィラージュをとりあえず真ん中にはさんでおきます.

ミサ「不幸が私を打つ」キリエ


ミサ「不幸が私を打つ」グローリア


クレド・ヴィラージュ


ミサ「不幸が私を打つ」サンクトゥス


ミサ「不幸が私を打つ」アニュス・デイ





posted by 新見我無人 at 01:18Comment(0)日記

ボーカロイドの音楽

 21世紀の音楽の中での最大のイベントは,ボーカロイドの発売でしょう.2004年ぐらい,サイト休眠以前から,すでにボーカロイドは存在していて,たとえばアルカデルトのマドリガーレのmp3などはありましたが,社会現象的なものではありませんでした.本当に社会現象的・革命的なイベントとなるのはもう少し後,2007年の初音ミクの登場になります.社会的な現象にまでなった背景は,それ以前のボーカロイドを超える性能というわけではないようです.いつくかの要因は,声の元となったのが声優であったこと(最近でいえば有名なのは『進撃の巨人』のユミル役の方),初音ミクのパッケージに独特のデザインのアニメイラストをつけたことで,水面下にいた膨大な数のアニメファンを中心としたサブカルチャー愛好者が一気にその視聴者となったこと,その場となるニコニコ動画という場があったこと,DTMの世界でプロ化しきれなかった,あるいはプロ化を待っていた音楽的才能が,発表の機会を待っていて,初期ボーカロイドの優れたオリジナル曲が立て続けに出たことが原因になるようです.このオリジナル曲は当初簡単なイラストを動画につけていただけなのが,さらによりイメージにあった絵,さらにはアニメーション動画などをつける作者を呼び込み,それぞれの分野の膨大な愛好家を互いの分野に紹介しあうなど,次々と相互作用を及ぼしてゆき,結果的にボーカロイド界は音楽の一分野を築き上げるほどの一大「市場」と化したのです.
 今市場に鍵カッコをつけたのは,少なくとも当初は嫌儲という立場で,発表の側も対価をもとめず,さらに二次的創作の発表も許容し,また視聴者もネット上のものは無料とすべきという立場を当初とっていたということがあるからですが,しかし徐々にボーカロイド・プロデューサー,ボカロPのプロ化は結果的に好意的に認められてゆくことになります.その結果,たとえば比較的初期にプロ化で成功したボカロPの ryo さんという方の最初の CDアルバム "supercell" は売上金額の多い新人アーティストに与えられる「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」に2010年に認定されています.
 初音ミクから始まるボーカロイド音楽世界の始まりは,大雑把にいえば上のような状態にまとめていいかと思います.現在は紅白歌合戦などでもボーカロイド曲が取り上げられたりして,ネット音楽に馴染みのない人にも聞かれはしていますが,ただし今比較的聞かれている曲はむしろ低年齢層向けの曲がメインのようで,実力派の曲などはニコニコ動画などでも比較的視聴数が少なかったりします.僕が聞いている範囲内で,ここでもたまにボーカロイドの音楽を紹介していきたいと思います.

posted by 新見我無人 at 00:39Comment(0)日記