ラ・リュー,オルト,アグリーコラのモテット,マニフィカトなど

 モテットなど比較的短いmp3を.ピエール・ド・ラ・リューのモテット「めでたし、最も聖なるマリア」は写本のファクシミリ出版社のサンプル写真から目を凝らして解読した思い出深い曲です(笑).3声がそれぞれカノンになる6声のモテットで,すでにロンドン古楽コンソートによるすばらしい演奏があります.

 マルブリアーノ・デ・オルトは16年間ずっとマブリアーノと間違え続けていました…….モテット「めでたし、マリア、恵みの母」はBrussel, Koninklijke Bibliotheek MS. 9126 のファクシミリから直接入力したものです.わりと早い時期に作ったものですが,しかしこの写本には音の間違いが幾つかあって,訂正してちゃんとした音を鳴らすのに苦労しました.もちろん,素人なので正確な訂正になっているかはわかりません.校訂楽譜はこのファクシミリ出版時にはなかったので,多分この midi が数百年ぶりの再演になったことと勝手に思っています.最近オルトのCDがいくつか出ていて,その一つにこの曲が収録されていたので,需要はなくなりましたが,まあ思い出の曲ですね.

 アグリーコラは3声のエレミア哀歌は音源としては珍しいかもしれませんが,他はそれぞれCDなどで名演が聞けます.ラ・リューとならんで意外と注目されていない大作曲家だと思います.


ピエール・ド・ラ・リュー モテット「めでたし、最も聖なるマリア」
Motettus "Ave, sanctissima Maria"


マルブリアーノ・デ・オルト モテット「めでたし、マリア、恵みの母」
Motettus "Ave Maria, mater gratiae"


アレクサンダー・アグリーコラ エレミア哀歌(3声)
Lamentationes (trium vocum)


アレクサンダー・アグリーコラ モテット「我に、聖なる霊よ」
Motettus "Nobis sancte Spiritus"


アレクサンダー・アグリーコラ 第1旋法のマニフィカト
Magnificat primi toni


アレクサンダー・アグリーコラ モテット「めでたし、女王」
Motettus "Salve regina" (I)



Ensemble Musica Nova によるアレクサンダー・アグリーコラ モテット「めでたし、女王」
この動画の写本と同じものから上の midi を作りました.



posted by 新見我無人 at 23:28Comment(0)日記

フレスコバルディの声楽曲動画

 フレスコバルディはもちろん初期バロック鍵盤音楽の発達に多大な貢献をしたのですが,その一方で声楽曲も書いています.印刷本だけでも5声のマドリガル集第1巻(2巻は発行されたか失われたかは不明),1-3声のアリア集『チェンバロとテオルボ伴奏で歌うための音楽的アリア集』1・2巻,モテット集第2巻(こちらは1巻は失われたもよう),二つの8声のミサが現存しています.

 ところが,声楽曲,特に世俗の声楽曲であるアリア集については,演奏家の間ですら評価が低く,滅多に演奏されていませんでした.ただ,古楽の世界にちょっと長めにいるとわかることですが,この低評価というのは大抵は技術的・解釈的な問題でいい録音・実演が少ないことろから出てくる偏見であることが多いのですね.たとえば音楽学者の大家にすら徒らに複雑とまで言われた14世紀後半の音楽や,保守的技法にとどまっていたと言われたオブレヒトの評価(実はジョスカン世代の最先端はジョスカンでなくオブレヒトだった)などのように,フレスコバルディも最近の見事な演奏水準によって本来あるべき評価を回復しつつあるところです.


まずは大作『モニカのアリアによるミサ』から.Concerto Palatino による演奏です.


元になった作曲者不詳のアリアはこちらが名演です.



アリア集からの演奏を.こちらが一番有名でよく演奏される曲です.Alice Borcianiさんは生粋のイタリア人です.すばらしいボーイソプラノ的な響きもある声ですが,同時に超絶技巧とスタミナを要求されるオペラの大曲も演じきれるソプラノです.


こちらは2声のアリア,"Non vi partite" テノール Dan Dunkelblum さん,カウンターテノール Doron Schleifer さん.お二人ともイスラエル出身だそうです.


Flavio Ferri-Benedettiさんによる"Così mi disprezzate"の演奏.イタリア人ですが子供の時にスペインに育ったのでバイリンガルのようです.


同じ曲で日本の彌勒忠史さんの演奏.


彌勒忠史さんの演奏で"Maddalena alla croce"


Concerto di Margheritaによる"Voi partite mio sole"演奏.歌唱はなんとハープも弾いている Tanja Vogrin さん.じつは今は歌も楽器も演奏できるマルチプレーヤーの優れた演奏家も増えています.


Mariana Floresさんの演奏.アルゼンチン出身でややラテン風味の演奏ですが見事だと思います.


"Soffrir non posso" テノール Tore Tom Denys さん,Erik Leidal さんによる演奏.


テノール Dan Dunkelblum さんによる "A miei pianti" の演奏.



YouTubeにも色々他に魅力的な演奏があるので,ちまちま探してみてください.ただ,まあこれぐらいあればフレスコバルディが声楽曲で劣るなどという人はいなくなるでしょうか(笑).




posted by 新見我無人 at 01:41Comment(0)日記

改行がうまくいかない?

どうもブログの css に変な処理があるようで,カンマの直前で改行されたり,英単語中で改行されたりとおかしなことになっていて,見苦しいので,少し調べてみます.しかしネットが便利にはなったのですが,最近は調べたいことがグーグル検索の先頭に出て来ないことが多くてこまったものです.hmtl関係の書籍も,以前はかなり細かいところまで書いていたはずですが,最近はちょっと雑な気がしますね.
posted by 新見我無人 at 21:11Comment(0)日記

ジョスカンのmp3と動画

そろそろジョスカンのmp3と実演動画を.ミサ『第六旋法の武装せる人』よりアニュス・デイの第三アニュスは,CDなどの演奏ではかなり遅くて,一拍遅れのカノンがあまり効果的でないので,midiでこの部分だけ作ったという経緯があります.しかしこのスピードで演奏するとすれば相当の演奏技術ではあるでしょうね.他のミサ全曲の二つのmp3はもうCDも複数でていますし,下で紹介しているYouTubeに公開されているライブ名演があるので,もう需要がないといえばないですが,せっかく写本から打ち込んだので……

ジョスカン ミサ『めでたし、海の星』


作曲者不詳(Malcourt?)「不幸が私を打つ」


ジョスカン ミサ『不幸が私を打つ』


ジョスカン ミサ『第六旋法の武装せる人』よりアニュス・デイ (調整しました)



Gli Angeli Genèveによるジョスカンのミサ『不幸が私を打つ』の名演(2018/08/30ユトレヒト古楽祭,ライブ).
モテット Praeter rerum seriem と Miserere mei も収録されています.



カペッラ・プラテンシスによるミサ『めでたし、海の星』の名演.(2014/01/16コンサート“Josquin in Rome”ユトレヒト聖ピータース教会,ライブ).


posted by 新見我無人 at 14:21Comment(0)日記

はじめに (ブログ開設時に書いたご挨拶)

はじめに


 15世紀初頭、イギリスの音楽、特に3度の和声を基調にした芳醇な和声と数理的な音楽構造が、大陸の北フランス・オランダ・ベルギー近辺の低地の音楽家に取り入れられてから、音楽史上もっともエキサイティングな時代が始まります。

 その地域の名前を借りて、後にフランドル楽派あるいはネーデルランド楽派と呼ばれることになる音楽家達は、まさにヨーロッパ中をまたにかけた活動をしました。時代はルネサンス、文芸復興の気運に相応しく、彼らは伝統を咀嚼しながらも、様々な形式に束縛されていたその伝統から脱却し、互いに競い合ってポリフォニー音楽のあらゆる可能性を追求しつつ、優れた作品を生み出し続けました。

 彼らの作品は、最初は丁寧に筆写された写本によって、後には新しく始まった印刷楽譜によって広められ、音楽家自身も、ヨーロッパの有力な宮廷・教会、あるいは教皇庁などの歌手として活躍しつつ、作曲活動を行いました。彼らの故郷が戦争に巻き込まれ、音楽もより直接的な感情表出のためにポリフォニーから脱却しようとする方向が決定的になってゆく16世紀後半まで、音楽世界はまさに彼らを中心に回っていたといって過言ではないでしょう。

 この時代が過ぎ去った後、一部の例外を除いて、フランドルの音楽家たちは徐々に忘れられ、今日まで殆ど名前を知られることはなくなったのですが、彼らが対位法においてあげた成果は間接的にバッハ、モーツアルト、ベートーヴェンらを準備したと言えるでしょう。しかしながら、彼らの作った作品そのものも、決して歴史にのみ名前を残されるべきものではなりません。バッハ、モーツアルト、ベートーヴェンの音楽が、過去の遺物でないように、彼らの音楽も今なお燦然とした光を放っていることが分かるでしょう。

 このホームページは、フランドル楽派の音楽をより多くの人に知ってもらうことを目的に作られました。MIDIによる音楽紹介、作曲家についての紹介、コラム、CDの紹介などが主な内容になると思います。しばらくは不完全な状態が続くと思いますが、よろしくお願い致します。

2002年6月29日
新見 我無人(にいみ がむと)


posted by 新見我無人 at 13:06Comment(0)日記